脂肪や老廃物などが絡み合い脂肪の塊ブログ:05月30日
まだ新米のパパと母だった僕たちが、
抱っこすれば筋肉痛、泣く度にあたふた、
オムツ替えの時、緑色のうんこが出てきただけで
大騒ぎしていた頃…
男の子が生まれて一週間が経ち、退院の日となった。
一応、入院中に、ミルクの飲ませ方、入浴方法等、
基本的事項は伝授されていたが、
こんなに小さくてか弱い存在を、
果たして自分たちだけで育てていけるのか、
僕は心中穏やかではないどころか、嵐が吹き荒れていた。
家に帰って、我が家で初めてのミルクの時間。
奥さんがおっぱいを飲ませた後、
哺乳瓶でミルクを飲ませるのが僕の役目だ。
吸い口を男の子のクチに当てると、
男の子は吸い口にかぶりつき、勢いよく飲み出した。
小さいながらも、
一生懸命ミルクを飲む姿に、思わず目頭が熱くなる。
ましてや、自分のおっぱいを飲ませる母にしてみれば、
何よりも愛しい存在に思えるだろう。
ほっとしたのも束の間、
男の子は飲まなければいけない量の半分で飲むのをやめた。
鼻とクチの間を、吸い口の先で
ちょんちょんと刺激しても何の反応も示さない。
病院では、これぐらいの量は楽勝で飲んでいたのに…
僕は何度も呼びかけ、肉体を揺すったりしてみたが、
やはり男の子は無反応である。
僕の肉体中から、変な汗が噴き出してきた。
奥さんが慌てて駆け寄り、
男の子を抱えあげ何度も呼びかける。
二人して、大声で何度も呼びかけた。
もう涙が出てきそうだ。
僕は動転している頭の中で、
病院でのやり方と何か違った点がなかったか必死に考えた。
いや、何も違ったところはない。完璧だ。
僕は、男の子の鼻先に耳を当ててみた。
「スースー」
男の子の気持ちよさそうな寝息。
腹がいっぱいになり、
男の子はただ寝ていただけだった。